自分のキャリアだけでも大変なのに、夫婦になるとキャリア形成はもっと大変だと思いませんか?最近では共働きも当たり前となり、夫婦を営む上でのキャリアの重要性はかつてないほど高まっていると言えるでしょう。本連載記事は、そんなキャリア形成に関心を向けるご夫婦やカップルを想定し、どのように夫婦でキャリア形成を進めていくかについて解説していきます。連載5本目となる今回のテーマは「キャリアのふりかえり」です。キャリアプランを踏まえて定期的にふりかえりを行うことは、夫婦のキャリア形成において非常に有益です。本記事では、夫婦がキャリアを育てていくためのふりかえりの重要性や具体的な方法について詳しく解説します。夫婦にキャリアのふりかえりが重要な理由そもそも夫婦がキャリアのふりかえりをすることは本当に必要なのでしょうか。ここではその重要性について解説をしていきます。ふりかえりの目的と効果夫婦にとってふりかえりをする目的は大きく3つ挙げられます。それは、相互理解・成長促進・軌道修正です。1つ目の「相互理解」については、これまでの記事でも解説をしてきました。やはりお互いの現状や理想を理解していることで夫婦のコミュニケーションがスムーズになり、夫婦運営が円滑に進みやすくなります。夫婦でキャリア形成を進めるうえでは、お互いの状況を理解することは欠かせない要素です。2つ目の「成長促進」はその言葉の通り、キャリア形成に向けた能力向上や前進をもたらす推進力を意味します。定期的にキャリアについてのふりかえりをすることで、お互いが取り組むべき課題やテーマが明確になります。お互いのテーマを夫婦が理解していることは、お互いが必要としている情報や機会を獲得するチャンスが倍増することを意味します。また、ふりかえりにパートナーという第三者の目線が入ることで、自分だけでは得られなかった視点や気づきを得ることもできるでしょう。3つ目の「軌道修正」は、ふたりが掲げた将来像に対して効果的に前進することを意味します。前回の記事で夫婦のキャリアプランの作り方を解説しましたが、キャリアプランの実現において大切なのは定期的に立ち返ることで進捗を確認することです。理想としている状況に近づいているのか、いないのか。より前進するためにはどうしたら良いのか。そもそも、現在のキャリアプランの実現を本当に目指すべきなのか。ふりかえりを通して夫婦の歩みを軌道修正することで、よりスムーズに理想の状態に近づくことができるでしょう。関連記事:夫婦のキャリアの育て方④:夫婦でキャリアプランを話し合おう夫婦にとってのふりかえりの位置づけこれまでの連載記事でも、夫婦の話し合いについてさまざまな観点から解説をしました。仕事の内容を理解すること、ホウレンソウを徹底すること、キャリアプランを話し合うこと。もしここまでのことを取り組んでいるのであれば、そこに夫婦のふりかえりは本当に必要なのかと疑問が湧くかもしれません。結論としては、他の取り組みをうまく取り入れながらふりかえりを進めていくことをオススメしています。ふりかえりの位置づけとしては、キャリアプランをある程度終えたあとの定期的な進捗確認・軌道修正の場として捉えるとよいでしょう。キャリアプランは一度決めて終わりではなく、プランを実現するための日々の行動・改善が大切です。行動・改善が十分にできているかどうかは、時間をとって自分たちを客観視しなければ分からないものです。また、仕事の理解やホウレンソウもふりかえりの一部ではありますが、あくまで日々の「会話」をベースに行われるものです。それらは日常のチューニングという意味合いが強く、時間を確保してゆっくりとふりかえることとは位置づけが異なります。会話を通して日々の情報をシェアしつつ、それらを踏まえてふりかえりを通して過去や未来に目を向けていく場を設けられると良いでしょう。夫婦のふりかえりの具体的な方法それでは、具体的なふりかえりの方法について解説をしていきます。夫婦のキャリアプランの話し合いが完了している前提となりますのでご注意ください。関連記事:夫婦のキャリアの育て方④:夫婦でキャリアプランを話し合おう実施の頻度まず、ふりかえりの実施頻度のポイントは、ムリなくキリよく実施することです。頻度の目安としては1ヶ月ごと・3ヶ月ごと・6ヶ月ごとなどが候補に上がるかと思います。毎月ふりかえりを実施することが理想ではありますが、おふたりがムリなくできるペースで実施することが大切です。また、タイミングとしては月の途中よりも、月末か月初に固定することでキリ良くふりかえりができるでしょう。例えば4~6月のふりかえりを6月末か7月初頭に実施するようなイメージです。なお注意点として、共働きであったりお子さんがいらっしゃったりすると、日々忙殺されるなかで日々の出来事を忘れてしまう可能性があります。ですので、特に3ヶ月ごと・6ヶ月ごとにふりかえりを実施をする場合でも、日々の経験や気持ちを日記やメモアプリなどで記録するようにしましょう。そのひと手間があるかどうかで、ふりかえりの質が大きく左右されます。ふりかえりの進め方続いて、ふりかえりの具体的なステップについて解説をしていきます。あくまでも進め方の参考材料としていただき、ご夫婦なりのふりかえりの方法を定めることがベストです。以下では実施の頻度を1ヶ月ごとと想定して解説をしていきますが、時間軸についてはご自身のペースに読みかえるようにしてください。Step1.チェックイン話し合いにおいてはお互いがリラックスしながら話せる環境や状況を準備することが大切です。ですので、いきなり本題に入る前にチェックインの時間を作るようにしましょう。チェックインとは、その場に参加するための儀式のようなもので、お互いが発言しやすい環境を作ることを目的にしています。ホテルのチェックインと同様、話し合いにチェックインするようなイメージですね。具体的には、今感じている気持ちを率直にシェアすることから始めましょう。今日の体調、今のコンディション、どんな場にしたいか、などなど。気持ちを率直に伝え合うことでその後の話し合いをスムーズにしていきます。ただし、あくまでも場の安心感をつくることが目的なので、「だるい」「面倒くさい」などの発言は許容できるものではありません。Step2.直近の1ヶ月間のふりかえりまず話していくのは、この1ヶ月間の出来事です。ここでは、前回のふりかえりから今回のふりかえりまでにどんな出来事・経験・変化があったのかをシェアし合います。以下のような内容をひとりずつ順番に共有していきます。今月やったこと:具体的な行動・出来事・成果など良かったこと:具体的な成功・成長・褒められたことなどうまくいかなかったこと:具体的な失敗・問題点・障壁など※仕事上のことだけでなく、家庭やプライベートのことも慣れないうちは話しすぎてしまうこともあるため、ひとり5-10分の制限時間を設けてタイマーで計るようにすると良いでしょう。Step3.次の1ヶ月間の目標・取り組み続いて、次の1ヶ月間についての目標について話します。ここでは、次回のふりかえりまでの間で取り組んでいきたいことをシェアしていきます。以下のような内容をひとりずつ順番に共有していきます。来月の目標:次回のふりかえりまでに到達していたい状態・成果来月の取り組み:来月の目標(状態・成果)に向けた仕事・行動・工夫相談・依頼事項:パートナーから得たい協力・理解・応援※仕事上のことだけでなく、家庭やプライベートのこともこちらも所要時間はひとり5-10分です。なお、Step2,3はセットにしても構いません。ひとり15分でStep2,3を実施し、交代をしてStep2,3を進めるという流れでもスムーズです。Step4.キャリアプランの進捗確認・軌道修正その後、前回話し合ったキャリアプランを踏まえてのふりかえりをしていきます。ここでの目的は、お互いのキャリアの希望について再確認をすることと、不安や懸念点を洗い出して軌道修正をかけることです。キャリアプランの確認:お互いが話していた将来像や不安・懸念の再確認前回からの進捗:将来像に対しての進捗確認、不安・懸念の解消状況軌道修正:キャリアプランの変更点、新たに生まれた不安・懸念の確認このステップでは進捗確認や軌道修正も大切ですが、一度話し合ったキャリアプランを思い出すという意味合いも強いです。多くのプランは立てて終わりになってしまうことが多いため、しっかりを思い出して日々立ち返ることが大切ですStep5.その他の自由テーマせっかくの話し合いの場ですので、仕事やキャリア以外のことについても話し合うようにしましょう。家事のこと。子どものこと、親族のこと、お金のこと、趣味のこと、時間の使い方のこと。なるべくたくさんのことを話し合うことで、夫婦運営は格段にスムーズになりますよ。事前準備上記のようなふりかえりは準備不足ではうまくいきません。必ず、ふたりで準備をして臨むようにしましょう。準備については、まず上記の中でも特にStep2,3については事前に何かしらのツールを使ってメモにまとめておくことをオススメします。例えば、NotionやEvernoteといったデジタルなメモ・情報整理ツールを使用することは効果的です。ふりかえりの内容は口頭だけでは十分に伝わらないので、口頭説明に加えてメモも共有することでパートナーが読みながら理解を深めたり質問を生み出すことにつながるでしょう。また、事前にアジェンダを定めておいてテンプレートを作成することもおすすめです。上記のテーマについてはあくまでも一例ですので、おふたりがふりかえりをしやすいようにテーマをカスタマイズをすることが大切です。毎月必ずこのテーマについて話すということをふたりで定めておけば、夫婦のふりかえりもより効果的になるでしょう。夫婦のふりかえりを成功させるポイント夫婦のふりかえりは慣れていないと簡単ではありません。以下のことは特に注意してお互いに臨むようにしましょう。傾聴の姿勢で話しやすい雰囲気をつくるふりかえりを成功させるには、お互いが安心して話すことができる状態をつくることが大切です。そのためにも、相手に聴く姿勢を示す「傾聴」を心がけるようにしましょう。具体的には、話を聞く際にはあいづちやうなずきで話を承認する、作業を止めてパートナーの方を向く、リアクションをとって反応する、といったごくごく当たり前のことです。非常に基本的なことのようですが、夫婦だからこそ蔑ろにされがちな部分でもあります。もし対話の相手が上司や顧客であれば誰しもが意識して丁寧な対応をとることができるものですが、夫婦の場合は距離が近いからこそ気の緩みが生まれやすく対応が雑になりがちです。夫婦生活で常にそうすべきとは言いませんが、せめて夫婦でふりかえりを進める際にはお互いが意識的に聴く姿勢で臨み、話しやすい場を作ることをふたりが心がけるようにしましょう。好奇心をもって質問をする夫婦のふりかえりの質を高めるために重要となるのが質問です。質問には受け手の考えを広げる・深める効果がありますが、その効果を得ることが夫婦でふりかえりをすることの大きな意義です。第三者から質問を受けることによって、考えていなかった部分への考察が深まり、言語化を通して自分の本音に気づくきっかけになるのです。とはいえ、良い質問をすることは簡単ではありません。質問の際には「深める」ことと「広げる」ことを意識するようにしましょう。「深める」というのは、すでに話した点についての深堀りすることです。深める際には「どうして?」と「具体的には?」を活用するしましょう。上司に腹が立ったのは、どうして?今の職場で挑戦していきたいというのは、具体的にはどんなことを?また、「広げる」というのは、発言した内容以上の話を横展開することです。広げる際には「他には?」を活用するようにしましょう。これからやりたいことについて、他には何かある?私からのサポートについて、他にして欲しいことはある?とはいえ、質問の技術も大切ではあるものの、最も大切なのはパートナーに興味関心を持つことです。パートナーが見ている世界・考えていること・好き嫌いの価値観などに心から興味を持つことが、結果的にさまざまな質問につながるのです。批難・否定は絶対に避ける夫婦のふりかえりの場はできるだけポジティブな場であるべきです。この時間が心理的に苦しい場・面白くない場となってしまうと、ふりかえりは成功も継続もできません。ふりかえりを通して絶対に避けていただきたいのはパートナーを批難・否定することです。夫婦の話し合いの難しい理由のひとつとして、これまでの感情的なもつれや苦々しい過去が邪魔をすることが挙げられます。特に、夫婦には会社組織と違って上下関係がないため、お互いに我慢をして取り繕うことも容易ではありません。我慢をしようとしても態度に現れてしまうこともあるでしょう。ですが、もし夫婦のふりかえりを進めていくのであれば、パートナーの仕事・行動・態度を批難・否定することは避け、別の形で伝えていくべきでしょう。もしそれが感情的に難しい場合には、夫婦のキャリアについて話し合う前に夫婦関係やコミュニケーションを改善するべきかもしれません。その際は以下の関連記事を参考にされてください。関連記事:夫婦関係の修復方法まとめ本記事では、夫婦でのふりかえりの重要性や具体的な方法について解説しました。夫婦はこれから多くのライフイベントに直面することになりますが、ふりかえりを習慣化することができればさまざまな変化に対応することができるようになることでしょう。これまでのことを取り組むことによって、夫婦はより積極的に互いのキャリア形成に協力をし、実現を支援することができるようになるでしょう。この記事の内容が少しでもみなさんのキャリア形成のお役に立つことを願っています。