連載1本目となる今回は心構えがテーマです。本記事では、夫婦関係の修復をこれからしようと考えている方に向けて、どんな心構えで臨むべきなのかをお伝えしていきます。悪化した夫婦関係を改善するのは簡単なことではありません。これまで傷ついてきた関係を修復するには、相応の時間と根気が必要です。具体的な関係修復の手順に入る前に、成功のための姿勢や態勢を整えることを目指して解説していきます。💡夫婦・カップルの仲良し度を気軽に診断!!夫婦関係の修復に「心構え」が大切な理由夫婦関係の修復においてはその具体的な手順やノウハウも大切ではありますが、多くのな夫婦を見てきた経験から、夫婦関係の修復で最も大切なのは「心構え」だと言えます。心構えがしっかりしているかによって、関係修復の取り組みの結果は大きく変わります。なぜでしょうか。1.関係修復には時間と労力がかかるから夫婦の関係修復には多大な時間と労力がかかります。いっしょにいる期間が長かったり、夫婦の信頼が深く傷ついていればいるほど修復に要する時間・労力は増える可能性が高まります。みなさんがこれから関係修復に取り組まれるとして、目安として最低でも半年~1年間はかかると思っていたほうがよいでしょう。長きに渡って仲の良い夫婦は、それだけ長い時間をかけてお互いの信頼関係を育ててきています。関係修復は一朝一夕でできるものではないことを理解し、根気強い努力が必要なのだということを心がけておくことが大切です。2.強いストレスや激しい変化が伴うから夫婦の関係修復には心理的なストレスも非常に強くかかります。夫婦関係を修復するということは、今までの慣れているやり方を捨てて新たなやり方に変えていくことに他なりません。これまでの延長線上に関係修復はないのです。その過程の中では、今まで見て見ぬふりをしていた現実に向き合うことや、今まで隠していた自分の弱みや恐れに向き合うことになります。それはとてもストレスフルなことであり、逃げ出したくなることもあるでしょう。ですので、しっかりと心を保つためのマインドセットがとても大切になるのです。夫婦関係の修復で得られるものは大きい関係修復は大変だという話をすると、「そこまでして修復する必要があるのかな?」「なんで私が変わらなきゃ行けないんだ!」と思われる方もいらっしゃるでしょう。ですがひとつ断言できるのは、関係修復の道のりを乗り越えた先にはとても大きなものが得られるということです。夫婦の絆を結び直すことは、これからの人生の喜びにつながる非常な大きなものを獲得することにつながります。1.深い人間関係は人生に幸福をもたらすハーバード大学が75年間に渡って行った追跡研究によると、良い人間関係は幸福感・健康・記憶力に良い影響を与えるということが結論づけられています。大切な人と深い人間関係を築くことは、それだけ人生に対して大きな影響を与えます。%3Cdiv%20style%3D%22max-width%3A854px%22%3E%3Cdiv%20style%3D%22position%3Arelative%3Bheight%3A0%3Bpadding-bottom%3A56.25%25%22%3E%3Ciframe%20src%3D%22https%3A%2F%2Fembed.ted.com%2Ftalks%2Flang%2Fja%2Frobert_waldinger_what_makes_a_good_life_lessons_from_the_longest_study_on_happiness%22%20width%3D%22854%22%20height%3D%22480%22%20style%3D%22position%3Aabsolute%3Bleft%3A0%3Btop%3A0%3Bwidth%3A100%25%3Bheight%3A100%25%22%20frameborder%3D%220%22%20scrolling%3D%22no%22%20allowfullscreen%3E%3C%2Fiframe%3E%3C%2Fdiv%3E%3C%2Fdiv%3Eそして、その人間関係の最たるものがパートナーとの関係です。みなさんが結婚を決断されたのも、心の奥底には「この人と結婚することで幸せになれるのではないか?」という想いがきっとあったはず。私たちは無意識ながらに、深い人間関係が幸福につながることが分かっているのです。大切なのは、婚姻関係をただ結ぶことではなく、関係性の質を高めてより良いものにすることです。そのためには不断の努力が必要になりますが、関係性の質が高まることで人生の質も高まっていくことでしょう。2.人生の課題を乗り越えるきっかけにまた、夫婦の関係修復の道のりは、それぞれが成長をしてく旅路でもあります。夫婦関係が他の人間関係と異なる点として、嘘のつけないむき出しの自分が現れることが挙げられます。どんなに仕事や社交の場面では素晴らしい人を演じたとしても、夫婦関係では本質的な部分は隠せません。そして、それがありありと夫婦関係に反映されてしまうのです。夫婦関係に向き合うということは、自分の内面にあるコンプレックス・プライド・バイアス・トラウマに向き合うことに他なりません。どんなに強い自分を演じても、誰にでも弱い部分はあります。これまで隠してきた人生の課題を夫婦関係というテーマを通して乗り越えることができれば、人生・人格というレベルでの大きな変化が訪れるでしょう。夫婦関係の修復に大切な3つの心構えでは、実際に夫婦関係修復において、どんなことを心がけていくべきでしょうか。ここでは3つのキーワードで修復に取り組む際の心構えを解説します。これらの考え方は決して修復を目指す場面だけでなく、安定した関係を維持し続けるためにもとても大切な心構えとなります。1.無責思考無責思考とは、「夫婦のどちらか一方に責任があるという考え方をせず、責任や原因を責めないスタンス」のことを指します。多くの場合、人は「自分を責める自責思考」もしくは「他者を責める他責思考」に陥ってしまいがちです。例えば、「お金が貯まらない」という問題に向き合うとき。自責思考の場合は「私が使いすぎて」とか「私の収入が少なくて」など自分に責任があると考える一方、他責思考の場合は「あなたの無駄遣いが」とか「あなたがもっと稼げれば」など他者に責任があると考えます。ですが、無責思考の場合は「今回はしょうがないね。お互いにどうしたらもっと貯金できるかな?」と、どちらか一方を責めることはせずに「夫婦としてこれからどうしていくか」を考えていきます。なぜ、責任や原因を追求しないスタンスが大切なのでしょうか。夫婦問題の69%は解決できない夫婦関係研究の第一人者のジョン・ゴットマン博士によると、夫婦の間で生まれる問題の69%は解決ができず永続するものであると言われています。なぜなら、そもそも結婚生活というのがまったく異なる価値観やライフスタイルをもち、かつ簡単には修正できない思考・行動パターンをもっている二者がいっしょ過ごすという営みだからです。ここで覚えておいていただきたいのは、ビジネスなどで用いられるような問題解決の手法は夫婦の問題には必ずしも有効ではありません。問題解決手法の多くは、論理的・合理的に正しい(と思われる)答えを導く手法です。ですが、夫婦の間の問題は必ずしもどちらか一方が悪いという性質のものではありません。一般的な問題解決手法では解決はおろか、問題をより大きくしてしまう可能性すらあるのです。悪者探しをする時点で両者が敗者基本的に、夫婦の問題でどちらか一方が悪いということはありません。ふたりともが現状の問題を作り上げており、ふたりともが問題の一部なのです。ですので、「どちらが悪いか」「どちらが正しいか」を追求すること自体が無意味であり、悪者探しを続ける限り夫婦としてはふたりとも敗者なのです。夫婦関係が悪化している夫婦の多くが、「自分や相手を責めること」が目的になってしまっています。ですが、本来の夫婦の目的は「幸せな家庭を築くこと」「安心安全な夫婦関係でいること」ではないでしょうか。夫婦関係修復の第一歩は、責任を追求することを手放すことだと言えるでしょう。無責思考を心がけるために、以下のような問いについて考えてみましょう。現在の夫婦関係において、自分もしくは相手のどちらを責めてしまうことが多いですか?自分もしくは相手を責めてしまった印象的なエピソードはありますか?そのエピソードを『仕方ないよね。だって、〇〇だったもんね。』と変換してみましょう。自責が強い場合は自分を、他責が強い場合は他者をフォローしてみてください。2.自分軸無責思考と並んで非常に大切なのが、物事を「他者軸」ではなく「自分軸」で考えることです。これまで多くの夫婦の関係改善を支援してきましたが、ご相談いただく多くの方が自分のことを我慢して「誰か」を軸に物事を考える傾向にあります。例えば、夫婦関係の修復を目指す理由を尋ねたとき。他者軸の場合は「子どもの教育上よくないので」「周りからの目が気になるので」と他者目線での説明をする一方、自分軸の場合は「夫婦関係が良い家庭に憧れているので」「もう我慢して過ごしたくないので」と自分目線での説明をします。お子さんのいらっしゃるパパママさんはご注意を特に他者軸の傾向が強いのが、お子さんがいらっしゃるパパ・ママさんです。関係修復の目的としても、「子どものため」を理由にしてご相談にいらっしゃる方が多いです。子どもに不自由をかけたくないという動機は素晴らしいのですが、夫婦関係が悪化を招く要素のひとつとして「自分のことを粗末にしている」という点が挙げられます。もちろん自分たちよりも子どもを優先するべき時期というのもきっとあるでしょう。ですが、「自分のことは後回し」が当たり前になってしまうことで、無意識の欲求不満でイライラしてしまったり、結果的に配偶者との関係が悪化するという悪循環を招いてしまいます。その考えがエスカレートすると、「私の人生は子どものためにある」と子どもを自分と同一視してしまいます。いわゆる「毒親」といった形で、夫婦関係だけでなく子どもとの関係も悪化してしまう恐れがあります。最初のステップは「自分との仲直り」から上記のような方には、「夫婦の仲直りの前に、まず自分との仲直りをしましょう」ということをよくお伝えさせていただきます。自分が満たされていなければ、他者に優しくすることはできません。自分が蔑ろにされていれば、他者にも厳しくなってしまいます。そのためには、「私」を主語にして自分の望みや願いを思い描くところから始めてみましょう。もちろん、夫婦関係はふたりで築くものなので、最終的には「私たち」を主語に理想や目的を描いていくことが大切です。ですが、「頑張りすぎている方」や「我慢をし続けている方」は、まずは「自分の欲求を大切にする」ことから始めてみてください。自分軸を心がけるために、以下のような問いについて考えてみましょう。あなたが「我慢してきたこと」「本当はしたかったこと」はありますか?もし思いつくものがあれば普段のご褒美に叶えてみましょう。罪悪感があるぐらいがちょうど良いです。夫婦関係が修復できると、「あなた」にとってどんな良いことがありますか?夫婦関係や家族関係がどんな状態だと「あなた」は幸せですか?それはなぜですか?3.覚悟3つ目に書かせていただくのが覚悟についてです。「結局は精神論ですか」と感じられた方もいらっしゃるかもしれません。ですが、結局夫婦がうまくいくかどうかは、最終的には覚悟を決めて実行できるかがとても大切なのです。なぜなら、前述の通り夫婦関係修復は非常に大変な道のりであり、覚悟がなければすぐに逃げ出したくなるからです。夫婦関係修復には、それなりのストレスや痛みが伴います。それでも投げ出さずに、最後まで根気強く取り組めるかどうかが大切なのです。「離婚してもしょうがない」という姿勢では関係修復はできない中には離婚を切り出されてしまったことをきっかけにお問い合わせをくださる方もいらっしゃいます。「離婚についての話」が切り出されることは、夫婦にとって決して悪いことばかりではありません。それがきっかけとなって夫婦関係への意識が強くなり、結果的に関係が修復されたケースは多くあります。一方、現代では離婚自体は珍しいことではなく、離婚自体が「絶対に避けるべきもの」という考えではなくなってきています。それは裏を返すと、夫婦関係を修復するにはご本人の強い意志が必要となるということです。当事者が「離婚になってもしょうがないか」という考えを持っている状態は、関係修復を目指すには非常に危険です。離婚やお別れを切り出されると、つい悲観的な気持ちになってしまうでしょう。それに、あなたにもこれまで我慢してきたことがたくさんあるかもしれません。諦めてしまいたくなってしまう気持ちもとてもよく分かります。ただ、それを逃げ道としている限り、真の関係修復が達成されることはありません。誰かに宣言し、約束をしましょうとはいえ、自分ひとりで覚悟を持ち続けるのはそんなに簡単なことではありません。心が折れそうになったり、泣きたくなるときもあるでしょう。そんなときは信頼できる誰かに宣言をして取り組むことも有効です。自分の中に閉じ込めず、誰かとの約束にしてしまうことで意志の力が強くなることは研究でも証明されています。最も良いのは、パートナーに対して直接宣言をすることです。「これまで本当に申し訳なかった」「どうしてほしいか率直に教えてほしい」「これから本気で改善してみせる」と本気の姿勢を伝えれば、それだけでも関係修復のきっかけになることがあります。それが難しい場合、仲の良い友人や利害関係のない同僚などに宣言するのも良いでしょう。まひとりで抱え込まず、味方を作ることが大切です。覚悟を決めるために、以下のような問いについて考えてみましょう。あなたは心から夫婦関係を修復したいと思っていますか?覚悟が決まらない場合、それを阻害するものは何ですか?関係修復に向けた覚悟を決める際、理解者・支援者として誰を巻き込めていると良いですか?「絶対に関係を修復する」と誰かに宣言できますか?誰に、いつ宣言をしますか?まとめ本記事では夫婦関係の修復を実現するために大切な「心構え」について解説をしました。とても抽象的な内容でしたので、なかなか記憶にも残りづらい内容だったかと思います。世の中には表面的な対処方法をお伝えする情報は山ほどありますが、ここでお届けしたいのは夫婦の関係性を本質的に変化させる情報です。今後の関係修復だけでなく、それ以降の夫婦生活においても大切な考え方をお伝えしていきます。