連載の6本目となる今回は、「修復が上手くいかないときの対策」をテーマとして取り上げます。本記事では、夫婦関係の修復に取り組みんでみている方を想定し、その理由や取り組むべきことについてお伝えしていきます。ここまでの記事を読んでいただく中で、夫婦関係の修復の方法の理解や実行が進んでいらっしゃる方も多いと思います。ですが、すぐに上手くいく方ばかりではありません。取り組んでみたけどなかなか上手くいかないという方に、考え方が対策をお伝えすることをゴールに置いて解説していきます。💡夫婦・カップルの仲良し度を気軽に診断!!「上手くいかない」と思いすぎない方が良い私たちに相談しにいらっしゃる方の多くは、ご自身で情報を集めて何かしらの取り組みをしてみたという方が多いです。そして、その中には「やってみたけど、なかなか夫婦関係の修復が上手くいかない…」という方が多くいらっしゃいます。この記事を読んでくださる方の中にも、「なかなか上手くいかずにため息が出る」という方がいらっしゃるのではないでしょうか。ぜひ一度立ち止まって、「上手くいかない」ということについて一緒に考えてみましょう!夫婦関係の修復って、どうなったら「上手くいく」なの?「関係修復が上手くいかないんです…」というご相談者さんに向けてよくする質問があります。それは、「上手くいくってどんな状態ですか?」ということ。意外とみなさん答えられないもの。みなさんにとって「関係修復が上手くいく」ってどんな状態ですか?夫婦喧嘩が頻発している方にとっては、衝突の回数が少なくなることかもしれません。一時的な夫婦喧嘩の場合、また仲良く笑いあえることかもしれません。明確に離婚を提示されている方は、離婚を思いとどまって貰うことかもしれません。夫婦関係がストレスフルな方は、イライラやストレスが少なくなることかもしれません。「上手くいく」というのはそのご夫婦の願いや状況によって大きく異なります。また、夫婦関係は目に見えないので、本人の受け止め方でも変わります非常に主観的なものです。ですので、あくまでも自分(たち)が「上手くいった」と納得できる結果や水準を設定することが大切です。自分が変わるだけでも十分な前進これはひとつの意見なのですが、あまり関係修復のハードルを上げすぎないことをおすすめしています。なぜなら、夫婦関係修復はそんなに簡単ではなく、基準を高く持つことでモチベーションが維持できなくなる可能性が高くなるからです。「夫婦」や「家族」の変化に目を向けることは保留にし、まずは「自分」が変化・行動できたことを「上手くいっている」と評価するだけでも充分な前進かもしれません。とある相談者(女性)の事例をご紹介します。その方は家事にも子育てにも非協力的な旦那さんに不満を持ち続けていました。10年以上の我慢の末、ついに不満が頂点に溜まり離婚を検討しているとご相談にいらっしゃいました。その方との対話を重ねているうちに、「自分を大切にしていない」「自分を責めている」ことに気づきました。そこでご自愛(自分を甘やかすこと)に取り組んでいくことで、自然と現状への捉え方や日々の行動が前向きになっていきました。その結果、旦那さんもその変化を察知して、少しずつ協力が生まれたり衝突が減ったりしたそうです。決して夫婦関係が劇的に修復をしたわけではありませんが、ご本人の取り組みや捉え方が変わるだけでも十分な変化が生まれます。そして、夫婦関係の修復というのはそんな劇的なものではなく、弱火で煮込みながら徐々に変化をしていくものです。ですので、あまり「上手くいかない!」と思いすぎず、少しの変化・自分の変化に目を向けることが大切です。何かが変わるときは一度不安定になるもの加えて、夫婦関係の修復には必ず不安定な局面が訪れることも理解をしておきましょう。現在の夫婦関係は、これまでの歩みを通してふたりで築き上げたものに他なりません。おふたりの防衛本能やコミュニケーションスタイルが反映され、今の形に着地しています。つまり、非常に微妙なバランスのもとで夫婦関係が成り立っており、どちらかが動くことで夫婦関係は大きく揺れ動きます。夫婦関係の修復とは、これまで当たり前としていたスタイルから外れる行為です。つまり、これまでと異なる動きをすることによって、これまでの夫婦や家族のバランスが崩れることは避けられません。夫婦関係のアンバランスが火種となって新たな衝突や緊張が生まれますが、これを乗り越えなければ新たな夫婦の形にはたどり着くことはできません。つまり、もし夫婦関係の修復の取り組みを通して衝突や緊張が生まれている場合、そこで「上手くいかない」「失敗だった」と諦めてはいけません。「相手が変わらない」と否定してもいけません。むしろ、その衝突や緊張は通過点であり、むしろ関係修復に向けて前進していると考えるようにしましょう。一時的に不安定になることを念頭に置いておくと、「上手くいかない」という気持ちが少し楽になりませんか?夫婦関係の修復が上手くいかない理由とはいえ、夫婦関係の改善や変化が見られないと、取り組みを継続することも難しいですよね。ですので、すでに取り組んでいるけど上手くいかないと悩んでいらっしゃる方は、背景として以下の点をチェックをしてみてください。ここでは「夫婦関係の修復は必ずできる」という前提に立っています。ただし、家庭内暴力や継続的な不貞行為など、そもそも関係修復が適切ではないケースについてはその限りではありませんのでご留意ください。方法は間違っていないか?夫婦関係の修復の方法に誤りがある・不適切であるというケースが理由として考えられます。この点についてはいくつかの視点があり、①材料の間違い、②解釈の間違い、③行動の間違いが挙げられます。材料の間違いとは、参考にする情報や手法が適切ではないということです。世の中には夫婦関係の修復にまつわるたくさんの情報が存在します。私たちのような夫婦関係を専門にしている立場だけでなく、離婚弁護士の立場での見解やイチ夫婦の立場での体験談を発信している方もいらっしゃいます。自分にとって適切ではない材料を参考にしてもなかなか成果は得られません。解釈の間違いとは、参考にする情報は適切でも、その内容の理解が間違っているということです。多くの場合、情報を正確に理解することは難しいものです。特に、自分がこれまで避けてきたことについては、偏見(バイアス)を通して曲がった解釈をしてしまうこともあります。自分の解釈が正しいのかを疑うことも大切です。行動の間違いとは、実行が適切にできていないということです。適切な材料を適切に解釈したとしても、実行に移すことができるかは別の問題です。誤った方法をとってしまったり、苦手なことを無意識のうちに避けてしまうこともあります。ご夫婦を実際に支援する中でも、材料や解釈よりも行動ができていないことが障壁になるケースは非常に多いです。結果を焦りすぎていないか?夫婦関係の修復に向けたアプローチが正しいものであれば、大小はあれど何かしらの効果が出てくるはずです。ですが、結果を焦りすぎることで「上手くいっていない」と捉えてしまう方もいらっしゃいます。この点については、①即効性への焦り、②効果性への焦りがチェックポイントとして挙げられます。即効性への焦りは、夫婦関係の変化に対しての時間感覚が早すぎることで生じます。すぐに効果が出ないことで、「上手くいかない」とすぐに諦めてしまいます。人との信頼関係を壊すのは一瞬ですが、育てるのにはとても時間がかかります。夫婦関係の修復も、積み重ねた歴史や出来事によっては最低でも半年から1年程度はかかりますので、即効性を求めすぎないようにしましょう。効果性への焦りは、夫婦関係の修復の結果に対しての基準が高すぎることで生じます。夫婦関係の修復は日々の行動の積み重ねを通して行われます。一度の取り組みで大きな効果が出ることは珍しく、本人たちも気づかないぐらいの変化が少しずつ進んでいくものです。また、うまくいったと思ってもまた元に戻ってしまうこともあるでしょう。大きな変化を期待し過ぎず、些細な変化に目を向けて大切にしていきましょう。背伸びしすぎていないか?修復に向けた方法が正しく、結果も焦りすぎていない。なのに「上手くいかない」と感じるのはなぜでしょうか。その場合、夫婦関係を修復しようと思うがあまりに無理をしすぎている可能性が高いです。背伸びをして取り組むことで、自分が苦しくなってしまうのです。特に責任感が強い方、真面目な方、自己批判の強い方が陥りやすい状態です。夫婦関係の修復の取り組みはこれまでの延長線上にはありません。これまで慣れ親しんだ自分の姿勢や行動を変える必要があり、たしかにストレスがかかります。ですが、無理をすることによって自分自身を苦しめてしまい、その余裕の無さが夫婦関係の修復に逆効果となることもあります。夫婦関係の修復で大切なのはとにかく継続です。なので、無理をし過ぎずに、一定のペースを維持するようにしましょう上手くいかないと感じたときには、一度立ち止まって気持ちを整えることも大切です。夫婦関係の修復が上手くいくための方法上記のポイントを踏まえたうえで、修復が上手くいくための方法を解説します。夫婦関係の修復方法は解説してきましたが、それらを継続的に実行するための補助的な手法を解説していきます。ポイントは、正しい方法をなるべく無理せずに継続することです。ジャーナリングで内面を整える夫婦関係の修復においては、自分の気持ちやメンタルを整えることが大切です。自分の内面が整っていないと、他者に優しくする余裕を持つことはできません。そこでおすすめなのが、自分だけの秘密の日記を持つことです。誰にも読まれないあなただけの世界の中で、自分の感情やモヤモヤを吐き出し向き合うことができます。おすすめはジャーナリングという手法です。ジャーナリングとは、いま頭に思い浮かぶものを手を止めずに書き出すことで内面を整える手法です。ポイントは、手を止めずに書き続けること。綺麗に書く必要もありません。「あー、何も思い浮かばん」とか「すっっっっごいむかつく!!!!!!」みたいな形で、誰に見せるものでもなくひたすらに書き続けます。5分間の時間制限やページ1枚分を書き切るなど、何かしらの制限を設けて取り組むのがおすすめです。書き出すこと・読み返すことによって、自分や夫婦のことを客観視することができるようになります。そして以下のような効果を得ることができるでしょう。否定的な感情を落ち着かせることができる自分の内面や考えに気づくことができる自分の行動や感情を冷静に観察することができる改善点や新たな道筋に出会うことができる自分の感情を整えることは、夫婦関係の修復に粘り強く取り組むための土台となります。その土台を築くためにも、ジャーナリングはとても相性の良い手法と言えるでしょう。自分を適度に甘やかす夫婦関係を修復するには根気が必要です。そのためには自分のモチベーションを保つことが大切です。ですので、適度に自分を甘やかすこと、つまり"ご自愛"をするようにしましょう。そう言うと、真面目な方は「そんなことをしている場合なのか?」と思ってしまうかもしれません。ですが、自分が満たされていないことには、なかなかパートナーとの結びつきを強める努力もできないものです。ご自愛のポイントは、「普段は我慢していること」「ちょっと罪悪感のあること」をやってみることです。パートナーのため・子どものためと、つい自分を犠牲にしてしまうことはありませんか?もちろん夫婦関係の修復のためには自分に対して厳しくする面も必要ですが、それと同じくらい適度に自分のことを甘やかすことも大切です。ご自愛の例として、以下のようなことが挙げられます。家事や育児を少し手を抜いてみる仕事を手放し、有給休暇を取得してみるいつもは食べないデザートを食べてみるいつもは寄らないカフェに入ってみるご自愛は夫婦関係に良い影響を与えることもあります。というのも、過度な我慢や自己犠牲は夫婦の雰囲気を悪くしたり、無意識のうちに攻撃的になってしまうものだからです。ご自愛を通して自分に余裕を持つことで、少し優しくなれたり、張り詰めた雰囲気を緩めることにもつながりますよ。客観的な相談仲間をつくる夫婦関係は外からはあまり見えにくい世界ですので、なかなか誰かに相談をすることは難しいかもしれません。ですが、客観的な立場の相談仲間を持つことは、夫婦関係の修復の取り組みを正しく継続的に行うためにはとても有効です。ただ、なかなか客観的な方を探すのは難しいかもしれません。相談仲間には、「どちらにも肩入れしないで欲しい」ということを表明することが大切です。例えばご両親に相談すると、どうしてもどちらかに肩入れをしてしまったり、過去の経験則を当てはめる可能性があります。「親に相談して痛い目を見た」という声もよく聞きます。それよりもフラットな視点で相談に乗ってもらえる兄弟姉妹や仕事の同僚・先輩、学生時代の友人などに相談する方が有効かもしれません。また、夫婦関係がある程度良好でポジティブな方を選ぶことで、前向きな意見を貰える可能性が高くなります。相談仲間が夫婦関係に対してネガティブな印象を持っている場合、「夫婦なんてそんなもん」という方向の話に進んでしまう可能性があります。それに引っ張られると、愚痴を聞いてもらえて一時的にはスッキリするかもしれませんが、根本的な解決にはつながりません。また、第三者の専門家のサポートを得ることも有効でしょう。海外ではカップルセラピーという夫婦カウンセリングは当たり前の文化になっていますが、日本での提供者はまだまだごく少数です。日本の場合、相談相手としては夫婦カウンセラーやパートナシップコーチ、離婚弁護士などが相談先の候補になり得るでしょう。ただし、必要なものが"心の癒やし"なのか、"根本的な関係修復"なのか、"法律的な相談"なのかによって相談相手の見極めが必要となる点にご注意ください。まとめ本記事では夫婦関係の修復が上手くいかないときの対策について解説しました。まずはご自身で取り組まれている時点で素晴らしい変化です!そのモチベーションを途絶えさせないように、ほどほどに頑張っていきましょう。私たちも日々、さまざまなご夫婦の相談に乗っています。もし第三者の意見が支援があると良いなと思われた際には、お気軽に無料相談会や体験コーチングにお越しくださいね。