自分のキャリアだけでも大変なのに、夫婦になるとキャリア形成はもっと大変だと思いませんか?昨今では共働きも当たり前となり、夫婦を営む上でのキャリアの重要性はかつてないほど高まっていると言えるでしょう。本連載記事は、そんなキャリア形成に関心を向けるご夫婦やカップルを想定し、どのように夫婦でキャリア形成を進めていくかについて解説をしていきます。 連載1本目となる今回のテーマは「事前準備」です。夫婦でそれぞれがどのように育んでいくのかの手法の前に、そもそも夫婦でキャリアの話をすることがなぜ大切なのかについて解説し、さらにキャリア形成を進めるうえでの心構えについても解説をしていきます。共働き夫婦のキャリア形成の現状まずは日本の共働き夫婦の現状を見てみましょう。日本の共働き夫婦は増加傾向日本における共働き世帯の数は、年々増加しています。厚生労働省の報告によると、2024年時点での「共働き世帯数」は約1278万世帯となっており、これまで日本では一般的だった「男性雇用者と無業の妻からなる世帯」の2倍以上となっています。1980年頃には約600万世帯だったことを考えると、約40年間で倍増しているような状況です。(参照元:『専業主婦世帯と共働き世帯』より)この増加の背景のひとつとして、経済的な理由が挙げられます。日本では世帯年収が減少傾向にあり、共働きが経済的に必要となっていることが多いです。厚生労働省が発行する厚生労働白書によると、1994年をピークに世帯年収が減少していることが示されています。一方、ポジティブな背景として、女性の社会進出もその要因に挙げられます。女性の社会進出が進み、女性が自身のキャリアを重視する傾向になってきたことや、企業側も育休制度といった社内制度・支援を拡充していることも共働き家庭の増加に寄与していると言われています。共働き夫婦にとってキャリアは重要である一方…そもそも"キャリア"の重要性が日本で高まってきたのはここ最近のことです。転職が当たり前となってきた中で、個人の職歴や職能を育てることが重要であるとみなされてきました。それと同時並行で共働き世帯の増加が進み、ようやく夫婦でのキャリア形成の重要性が認められてきた昨今ではないでしょうか。共働きが中心のスタイルとなり、キャリア形成は夫婦にとって非常に関心の高いテーマになってきていると言えます。しかし、日本においては、キャリアについて夫婦で取り組む文化が十分に根付いているとは言えません。片働きが中心の時代では仕事・キャリアはあくまで個人に閉じたものであり、共働き夫婦が増えている現状もまだまだその価値観は根強くあります。現在でも、ワークとライフを切り分けて考え、家庭に仕事の話を持ち込みたくないという方々も多いのではないでしょうか。そんな背景があるため、夫婦のキャリア形成はそんなに簡単なことではありません。自分のキャリアのことだけでも悩ましいのに、夫婦になると考慮しなければならないことが大きく膨らみます。しかし、だからこそ目を背けずに夫婦が共にキャリアについて話し合い、協力し合う体制を築くことが大切です。夫婦でキャリア形成に取り組むメリットでは、夫婦でキャリア形成に取り組むことでどんなメリットがあるのでしょうか。夫婦の連携が取りやすくなるキャリアについての話を夫婦ですることで、ふたりの連携が強まり夫婦運営がスムーズになります。お互いの仕事の状況やスケジュールを理解していることは、日常生活を円滑に進めるうえでも非常に大切なポイントです。また、突発的なトラブルが発生した際にもお互いの事情を理解しているため、協力して問題解決にあたることができるでしょう。とある夫婦は、仕事が繁忙期になりそうな予兆が生まれた際には早いうちにパートナーに状況をシェアするようにしているようです。そうすることで繁忙期にはパートナーの協力を得ることができ、家事や育児の比重を変えるなど、柔軟に行っているそうです。もし十分にキャリアや仕事の話をしていない場合、お互いの状況や前提情報が十分に伝わっていないので、協力をし合うのも難しくなってしまうでしょう。長期的に夫婦運営を進めるうえでも、お互いの状況を理解し合っていることは有意義だと言えます。互いの世界や視野が広がる夫婦でキャリアの話をすることは、お互いの世界や視野を広げることにも繋がります。夫婦の職業や業務内容はほとんどが異なるものだと思います。決して社内恋愛などだとしても、業務内容がいっしょというケースは稀でしょう。そんなふたりが互いの仕事の話をすることで、多くの知識を得たり視野を広げたりするきっかけにつながるでしょう。パートナーの仕事上の経験や知識を吸収することで、自分自身のキャリアにも新たなインスピレーションが生まれることがあります。異業種の事例や当たり前が、違う分野でも活きることは多分にあります。ですので、お互いに相手の話を引き出したり、興味をもってもらえるように工夫をすることが大切です。特に大事なのは、たとえまったく異なる業界や職種だったとしても、パートナーの仕事に対して関心を持つようにすることです。あまりにも職業が離れているので仕事の話をしないようにされているご夫婦も多くいらっしゃいますが、知らない世界を知る機会を活用しないのはもったいないのではないでしょうか。お互いの仕事の話を楽しめるようになると、共働き夫婦が話題に事欠くことはなくなるでしょう。パートナーとの信頼関係が強まるキャリアの話を継続的にすることは、最終的には夫婦間の信頼関係を強めることに繋がります。仕事を続けていると、楽しいことから大変なことまで様々な出来事が起きることはみなさんが感じられているとおりです。それに伴い、楽しさや嬉しさといったポジティブな感情や、悔しさやしんどさといったネガティブな感情が生まれていきます。それらをお互いが共有し、理解し合っていることは夫婦の深い結びつきにつながるのです。その際に大切なのは、パートナーのニーズに応えることに集中するということです。そのニーズとは、ただ状況や出来事をシェアしたいということと、アドバイスや解決策が欲しいということの大きく2種類に分かれます。ただのシェアに対して無用なアドバイスをしてしまったり、解決策を求めているのに聞くだけに終始してしまうと、「もう話さなくていいや」となってしまう可能性が高いです。ですので、もちろん聞き手がニーズを理解しようとすることも大切ですが、話し手側も「ただ共感がほしい」「解決策を探している」といったことを伝えられると信頼関係が損なわれません。夫婦でキャリア形成をする心構えこれから夫婦でキャリア形成を進めていこうという方々は、ぜひ以下の考え方を意識して取り組んでいただけると良いでしょう。キャリアを自分からふたりのものへと捉え直す結婚をする前は、キャリアは自分ひとりのものでした。自分の将来像や求めるものに愚直に取り組んでいくだけで十分でした。ですが、結婚をするとお互いのキャリアがお互いのキャリアや夫婦生活に大きな影響を与えます。大切なのは、結婚をしたらキャリアはふたりのものになったと捉え直すことです。まだまだ夫婦でキャリアのことを考えるということは一般的ではありません。前述の通り、日本では長きにわたって片働き世帯が多く、共働き世帯が当たり前になったのはつい最近のことだからです。そのため、未だに「パートナーに相談もなく転職活動をしていた」といったケースは散見されます。ですので、キャリアの選択は夫婦の選択であるという意識をお互いが持つようにすることが大切です。そのためには、日常的に仕事やキャリアの話をするようにすることが重要です。お互いの仕事に関心が持たれていない状況が長く続くと、夫婦にとってはキャリアは重要事項ではないとみなされてしまいます。それが結果的に、転職などの大切な選択を相談もなくどちらかの意志だけで決められてしまうという事態を招いてしまうのです。夫婦のキャリアについてはふたりで育てる意識を持ち、夫婦の足並みを揃えることが大切です。まずは愚痴吐きや悩み相談の習慣化からとはいえ、いきなり小難しい話をする必要はありません。まずは仕事上の愚痴や悩みを気軽に吐き出せるような機会を作ることが大切です。1日10分でも構いませんので、仕事についての出来事や状況をシェアする習慣を作りましょう。話をするのが難しいのであれば、パートナーの話を尋ねるところからスタートしても良いでしょう。「今日はこんな事があって…」「今日はいいことあった?」「最近、人間関係はどう?」そんな日常の些細な話が習慣化されていくと、キャリアは夫婦のものであるという意識が徐々に形成されます。お互いの仕事・キャリアへの関心を示し続けることが大切です。また、仕事・キャリアに関する会話が日常的に行われていると、転職・再就職といったより大きな選択やキャリア上の希望や不安への理解・話し合いも進みやすくなります。話し合いが上手くいかない理由の多くが、お互いの意見や考えの裏側にある背景・前提を十分に理解できていないことが挙げられます。夫婦のキャリア形成の第一歩は、仕事・キャリアにまつわる会話を習慣化することです。キャリアについて話し合うなら早いうちに仕事の話をなかなかする機会がないという夫婦もいらっしゃるかもしれません。もしお互いにキャリアを大切にしたいのであれば、キャリアについての話し合いはとにかく早く取り組むべきです。なぜなら、早い段階の話し合いによって計画を立てやすくなり、理想の実現がしやすくなるからです。夫婦が長い人生を歩んでいると、妊娠や出産、引っ越し、転職、病気など様々なライフイベントが発生します。ライフイベントが目の前に迫っていると冷静な判断は難しく、短絡的な選択をしてしまう可能性が高まります。特に、ライフイベントがもたらすキャリアへの影響は大きく、またキャリアの状況がライフイベントの選択にも影響を与えます。キャリアとライフイベントのお互いへの影響は非常に大きいことを理解し、ライフイベントが起きる前段階からキャリアについて話し合いを進めるようにしましょう。準備が早ければ早いほど余裕を持った計画立てをすることができ、柔軟な対応をとりやすくなります。まとめ本記事では、夫婦がキャリア形成を進めるうえで、仕事のことを話すことの大切さや心構えについて解説しました。具体的な手法の解説に入る前に、まずは夫婦のキャリア形成におけるメリットやマインドをご理解いただけると嬉しいです。もし夫婦にとってキャリア形成が重要なのであれば、ぜひ早い段階から"ふたりで"キャリアに取り組んでいくことをオススメします。なかなかふたりで取り組めていない場合、まずはこちらの記事をパートナーにシェアしてみることから始めてみてはいかがでしょうか。