公開日:
2024.06.03
更新日:
2026.02.25
この記事は、夫婦のキャリア形成について解説する連載記事です。
自分のキャリアだけでも大変なのに、夫婦になるとキャリア形成はもっと大変だと思いませんか?最近では共働きも当たり前となり、夫婦を営む上でのキャリアの重要性はかつてないほど高まっていると言えるでしょう。
本連載記事は、そんなキャリア形成に関心を向けるご夫婦やカップルを想定し、どのように夫婦でキャリア形成を進めていくかについて解説をしていきます。
連載3本目となる今回のテーマは「夫婦のホウレンソウ」です。共働き夫婦にとって、日々のコミュニケーションは非常に重要です。特に、お互いの仕事や家庭のことを共有し、サポートし合うためには、ビジネスでよく使われる「ホウレンソウ(報告、連絡、相談)」の手法を取り入れることが有効です。本記事では、夫婦間でホウレンソウを実践するための具体的な方法やポイントについて解説をしていきます。
そもそもホウレンソウは夫婦に必要なのでしょうか。ホウレンソウの意味と必要性について解説をしていきます。
ホウレンソウとは、報告・連絡・相談の頭文字を取ったもので、ビジネスを円滑にするためのコミュニケーション手法として知られています。仕事の場面でのホウレンソウの重要性については、ご理解をされている方が多いのではないかと思います。特に新入社員の頃に、「ホウレンソウを徹底せよ!」と口酸っぱく言われた方は多いのではないでしょうか。(私もそのひとりです。)
とはいえ、一言で「ホウレンソウ」と言われても、細かく見てみるとそれぞれの明確な違いは答えにくいのではないでしょうか。色々な解説記事を参照しても「報告と連絡の違い」などは特に定義がバラバラです。そこで本記事では、各要素の定義を以下として進めていきます。
報告:
過去の結果や成果、決定事項を上司やチームに伝えること。業務の進捗や達成した成果を報告することで、上司やチームメンバーが状況を把握しやすくなり、適切なサポートやフィードバックが得られます。
連絡:
未来の予定やスケジュール、イベントについて上司やチームに伝えること。会議のスケジュールや業務の今後の計画を共有することで、全員が同じ情報を持ち、計画的な業務運営が可能になります。これにより、突発的な問題を避け、スムーズな進行が期待できます。
相談:
困ったときや疑問が生じた際に、上司や同僚にアドバイスや解決策を求めること。新しい業務の進め方に悩んだ際に相談することで、適切なアドバイスを得られ、問題の早期解決が図れます。これにより、ストレスの軽減と効率的な業務遂行が可能になります。
報告は過去の決定・進捗、連絡は未来の予定・計画、相談は現在の悩み・困りごとを扱うということを一般的な定義とさせていただきます。これらを同僚・上司・部下に徹底することで、仕事上の信頼獲得や問題解決の迅速化、業務の円滑化につながります。
一般的にはビジネスの場面のみで意識がされがちなホウレンソウですが、これらを夫婦で実践することでも良い効果を得ることが可能です。なぜなら、夫婦も会社と同じ組織・チームだからです。特に夫婦は多くの会社よりも規模が小さいため、お互いがお互いに与える影響は非常に大きいものとなります。ですので、より意識的にお互いの動きや状況を把握し続けることが大切です。
夫婦がホウレンソウを習慣化するメリットとしては以下のようなものが挙げられます。
夫婦運営の円滑化:
ホウレンソウを通じてお互いの状況や予定を把握することで、家庭運営がスムーズになります。特に、仕事やキャリアの状況は家庭に大きな影響を与えるため、お互いの状況を常に理解をし合うことが夫婦運営に置いては重要です。
問題の早期解決:
ホウレンソウを日常的に行うことで、問題や疑問が生じた際にすぐに対話して解決策を見つけることができます。ホウレンソウができていないご夫婦の場合、発生した問題を抱え込んだり問題の共有が遅れたりすることで、余計に問題が大きくなってしまうこともあります。
信頼関係の強化:
ホウレンソウを通じて日常的に情報を共有することで、お互いの信頼関係が深まり強いパートナーシップを築くことにつながります。ホウレンソウを通しての支え合い・結びつきは、夫婦の絆を強めることにも貢献します。
特に共働き夫婦が夫婦のキャリア形成を進めるうえでは、ホウレンソウを習慣化することで前提情報を理解しておくことは非常に大切な要素です。キャリアに関する生きた情報を共有するためには、日常的にホウレンソウを徹底しておくことが大切なのです。
では、ホウレンソウを夫婦に応用する方法について具体的に解説をしていきます。基本的には、テーマを絞らずにあらゆる事項をホウレンソウすることがオススメです。
夫婦間での報告とは、過去の出来事・成果をパートナーに共有することです。お互いの状況への理解や支援が進んでいきます。以下のような報告を日常的に行うようにしましょう。
仕事・業務
仕事での経験や状況はパートナーからは見えないので、積極的に報告しましょう。
仕事の状況:「ようやくプロジェクトが完了したんだよね」
仕事の人間関係:「今日は上司に褒められたんだよ」
家事・育児
家事・育児の状況も共有することで、仕事と家庭の連携が進みやすくなります。
家事の実施:「今日は〇〇の掃除を終わらせたよ」
育児の状況:「子どもが新しいことを覚えたみたい」
出来事・感情
日々の小さな出来事や感情の変化を共有することも大切です。
日々の出来事:「駅前に新しいお店ができてたよ」
日々の感情:「昔の友達から連絡がきて嬉しかったんだよね」
夫婦間での連絡とは、未来の予定やスケジュールを共有することです。事前に伝えておくことによって家庭内の計画がスムーズに進みやすくなります。以下のような連絡を行うことで、互いの予定を把握しやすくなるでしょう。
仕事のスケジュール
仕事の予定を早めに共有することで、お互いのスケジュールを把握しやすくなります。
出張:「前にも話した日帰りの出張の予定が来週に入ったんだ」
繁忙期:「時期的に来月から忙しくなると思う」
家族イベント
家族内でのイベントや予定も事前に共有することで、計画的な家庭運営が可能です。
家族の予定:「運動会が6月にあるから覚えておいてね」
リマインド:「今月末の土日は親戚の集まりがあるから忘れないでね」
重要な日程の確認
誕生日や記念日、その他の重要なイベントの日程も連絡し合うことが大切です。
記念日:「来月は結婚記念日だね」「来週は子どもの誕生日だよ」
その他:「母の日・父の日のこと、そろそろ考えないとね」
夫婦間での相談とは、ひとりでは解決ができないことについてパートナーに共有して意見を求めることです。夫婦の相談は「悩み」や「問題」についてだけとは限りません。最も重要なのは、その選択の結果が「夫婦に影響がある事項」については意識的に相談をすることです。
仕事の悩み
仕事の悩みや困りごとを相談することで、新たな視点でのアドバイスやサポートを得ることができるでしょう。
業務上の悩み:「仕事で新しい業務に取り組んでいるけど、進め方がわからないんだ」
人間関係の悩み:「上司とのコミュニケーションがうまくいかなくて悩んでいる」
家庭内の問題
家事・育児、家計の管理など家庭内での問題を相談することは、解決策がスムーズになるだけでなく信頼関係を育てることにもつながります。
家事:「家事の分担についてもう少し話し合いたいんだ」
育児:「子育てについてどうすればいいか悩んでいるんだよね」
家計:「家計の管理方法について悩んでいるんだけど、どう思う?」
夫婦に影響がある事項
家族・親族・仕事など、多くの事項は自分ひとりへの影響で完結するものではありません。どういった細かいことであれ、何かしらの選択の際にはパートナーへの共有・相談を欠かさないようにしてください。
時間の使い方に影響:「近々、転職活動をしようと考えているんだよね」
転居・住まいに影響:「地方転勤の辞令が出るかもしれなくて」
親族との距離に影響:「両親から実家の近くに住まないかと言われてて」
夫婦でのホウレンソウを実践するにあたっては、以下のポイントを意識するようにしましょう。
夫婦のホウレンソウの中で最も大切なのは「相談」だと言えます。なぜなら、相談をした・された事項に対してふたりが関与したことになり、結果的に夫婦の結びつきをより強くすることにつながるからです。そのため、「報告」や「連絡」よりも意識的に取り組んでいくべきです。
一方、多くの夫婦がやりがちなのが「相談」すべきことを勝手に決めて「事後報告」することです。この行為は「あなたには関係ありません」「あなたへの影響は知りません」と言っていることと同じであり、ふたりの信頼関係を破壊する力を持っています。ですので、適切に「相談」ができるかどうかは夫婦関係を左右する重要な事項なのです。
誤った事後報告を避けるためには、「夫婦に影響がある事項」を見極めて相談を欠かさないことです。ほとんどの選択や意思決定は、夫婦に大きな影響をもたらします。たとえ個人の仕事・キャリアの話だとしても、その選択によって時間の使い方に変化が生まれるのであれば、結果的にパートナーへも影響を及ぼします。
ですので、些細なことでも「相談」をするクセをつけるようにしましょう。相談が習慣化することは、夫婦の火種となる事後報告を回避し、パートナーに「あなたが大切である」と示すことにつながります。
夫婦間でホウレンソウを習慣化するためには、意識的に時間を確保することが重要です。短時間でも毎日ホウレンソウの時間を持つ時間を作ることで、自然とコミュニケーションを増やすことができます。
例えば、夕食中や夕食後の30分をホウレンソウの時間にすることを決めておくと良いでしょう。また、食事のときはスマホを持ちこまずに会話の時間にすることも有効です。これにより、集中して話し合うことができます。子どもが小さい場合は、夜の時間を活用することも検討しましょう。もし、これらの方法が難しい場合には、週1・月1でもスケジュールを定期的に設定して、ホウレンソウの時間を確保する工夫も考えられます。
日々の予定と組み合わせながら意識的に時間を作ることで、ホウレンソウを継続的に行うことができます。
もし、時間が合わなかったり住む場所が離れている場合は、さまざまなツールを活用することも視野に入れると良いでしょう。直接の会話や電話・オンライン会議などでホウレンソウを直接できることが理想ではありますが、テキストコミュニケーションでも不可能ではありません。そこで、以下のようなツールを使うことでさまざまな状況でもホウレンソウが可能となるでしょう。
まず、一番分かりやすいのはLINEだと思います。最も気軽にホウレンソウがしやすいですが、一方で「すぐに情報が流れてしまう」「普段の会話と混ぜたくない」という欲求もあるでしょう。そこで、例えばSlackといったツールを利用することも有効です。Slackであれば、過去の情報を検索できたり、テーマごとにチャンネル作ることができたりします。「仕事のこと」「家庭のこと」「子どものこと」などのといったテーマのチャンネルを作り、その中で日々の仕事や家庭のことを整理・共有することも良いでしょう。
何のツールを使うかは重要ではなく、夫婦の間でのホウレンソウがスムーズに進むやり方・手法を工夫して見つけていくことが大切です。
本記事では、夫婦がホウレンソウを徹底することの重要性や、そのための具体的な方法について解説しました。夫婦がチームとして機能するためには、仕事と同じように報告・連絡・相談を積極的に取り入れることが有効です。
些細な取り組みのようですが、夫婦がキャリアを育てるためにはこのような習慣がとても大切です。ホウレンソウによる夫婦の相互理解があることが、夫婦のキャリア形成の土台になります。今回の記事をきっかけに、夫婦でのホウレンソウに挑戦してみていただけると嬉しいです。
灯し屋では、夫婦のキャリア形成をコーチングの手法を用いてサポートしています。夫婦の悩みはおひとりで抱えずに、お気軽にご相談ください。
記事の執筆者
畔栁 倫平|Rimpei Kuroyanagi
夫婦の大学 学長/灯し屋 創業者
2023年1月に夫婦・カップル向けの支援事業を展開する【灯し屋】を創業。コーチングという対話手法を通して、夫婦・カップルのあらゆる意思決定や悩みに日々向き合っている。また、2025年4月より夫婦・カップルのための学びの場、【夫婦の大学】をスタート。結婚生活/夫婦関係に必須の夫婦コミュニケーション講座やコラボイベントなどを開催している。
【保有認定資格】
Gallup認定 ストレングスコーチ/EQ1990認定 EQPI®アナリスト/エッグフォワード認定 変革コーチ

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