夫婦のキャリアの育て方②:お互いの仕事内容を理解しよう

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公開日:

2024.05.27

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更新日:

2026.02.25

この記事は、夫婦のキャリア形成について解説する連載記事です。

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自分のキャリアだけでも大変なのに、夫婦になるとキャリア形成はもっと大変だと思いませんか?最近では共働きも当たり前となり、夫婦を営む上でのキャリアの重要性はかつてないほど高まっていると言えるでしょう。

本連載記事は、そんなキャリア形成に関心を向けるご夫婦やカップルを想定し、どのように夫婦でキャリア形成を進めていくかについて解説をしていきます。

連載2本目となる今回のテーマは「お互いの仕事の理解」です。夫婦のキャリア形成においては、お互いの仕事・業務内容に対しての理解を深めていくことが土台になります。具体的にどのような観点で業務理解を深めていくべきかについて解説をしていきます。

夫婦で仕事の内容を知っておくべき?

そもそもキャリアは夫婦で形成すると言うよりも個人で取り組むものというイメージが強いのではないでしょうか?そもそも夫婦はお互いの仕事のことを理解しておくべきなのでしょうか。

パートナーの仕事内容を知らない夫婦は多い

これまで多くの夫婦に接する中で、お互いの仕事について十分に知らないという夫婦は意外にも多いものです。みなさんはいかがでしょうか?

現在の仕事の内容を知らない、過去から今に至るまでの経歴・経験を知らない、仕事で大切にしていることを知らない、現在の悩み事を知らない、これからのキャリア観について知らない...。仕事と言っても、様々な切り口があると思います。これらをすべて知ろうとすることは大変ですが、まったく知らないというご夫婦も多いような印象です。

夫婦の形も多様になってきている中で、仕事やキャリアに対してどこまで注目するかということも夫婦の多様性を表す要素なのかもしれません。

夫婦で仕事の話をするのが簡単ではない理由

夫婦が仕事内容を知らない背景に、仕事について話すことが心理的にも技術的にも容易ではないことが挙げられます。

まず、仕事と家庭を切り分けたいという価値観を持っている場合。実際、仕事のストレスやプレッシャーを家庭に持ち込みたくないと感じる人も多いでしょう。特に、仕事の愚痴やネガティブな話題は、相手に負担をかけたくないという思いから避けられがちです。

また、異なる業界や職種で働く場合、専門知識や用語が理解しにくく、会話がスムーズに進まないこともあります。パートナーとの出会いが近しい業界内や同じ職場でなければ、まったく異なる領域の仕事・業務について理解をすることは簡単ではありません。もちろん、説明するにあたっても努力が必要になります。

さらに、関係性が長くなればなっているほど「知った気になってしまう」ということもあるでしょう。どんなご夫婦も多少は仕事の話をしたことがあるかもしれませんが、そこから話したつもりになってしまうというのはよくあることです。そうなると、お互いの仕事に対しての好奇心や深堀りをするための質問は生まれにくくなってしまいます。

それでも仕事の内容を理解しておくべき理由

それでも、大部分の夫婦にとっては、夫婦で仕事の内容を理解し合うことは多くのメリットをもたらします。なぜなら、夫婦運営における仕事やキャリアへの影響は非常に大きなものだからです。

具体的なメリットとしては、①適切な励ましやサポートによって夫婦の信頼関係を築ける、②家庭内の役割分担や時間管理がスムーズになってストレスが減る、③キャリアの目標や成長を支援するための協力でキャリア形成が加速するなどが大きなところでしょうか。他にも精神面、コミュニケーション面、金銭面、教育面など、お互いの仕事への理解することのメリットは他にも挙げることはできるでしょう。

これは共働き夫婦に限ることではありません。仮に明確な役割分担をしている夫婦にとっては、会社での仕事だけでなく家庭内での家事や育児も「仕事」と捉えることができます。その上で、お互いの仕事を理解しておくことは上記と同様なメリットを得ることができ、夫婦運営がスムーズになるのは間違いありません。

夫婦が仕事理解を進めるうえでの切り口

夫婦が互いの仕事について理解をすることは簡単ではないのであれば、具体的にどのように理解を進めたら良いでしょうか。ここでは、パートナーの仕事の話を引き出すための切り口について解説していきます。結論をお伝えすると、「時間軸」と「テーマ軸」を意識することが効果的です。以下で詳細を解説していますので、参考にされてみてください。

時間軸の切り口:過去・現在・未来の軸

何について話すかに迷ったら、まずは時間軸を意識してみましょう。つまり、過去→現在→未来という形で切り分けて考えるということです。その中でも、特にすべての土台になる「現在」についての話を習慣化するのがおすすめです。現在の話が習慣化できるとお互いの仕事の状況が理解できるので、その上で未来や過去についての話をしていくのが有効です。

ちなみに「習慣化するほど話すことないよ」という方もいらっしゃいますが、その場合はキャリア上の停滞をしている可能性があります。仕事で得るものが減っている予兆かもしれないので、キャリア自体の見直しを検討されても良いかもしれません。

【時間軸での質問例】 ※話しやすさを★5段階で評価

▶過去について(★★★)
「今年はどんな1年だった?」
「この1ヶ月は100点満点中何点だった?その理由は?」
「これまで仕事してて一番嬉しかったことって何?」

▶現在について(★★★★★)
「今日はどんな1日だった?」
「なんか、いい表情してるね/表情浮かないね。なんかあった?」
「今って何か大変なことある?何かあったら聞くよ。」

▶未来について(★★★★)
「仕事では何か目標ってあったりするの?」
「今後のキャリアをどうしていきたいとかある?」
「今後は転職とか起業とか考えたりするの?」

これらの質問を通じて、夫婦がお互いのキャリア上の願いや目標を理解しやすくなり、共通の目標に向かって協力し合うことができます。

テーマ軸の切り口:会社・仕事・人の軸

また、相手の仕事についての理解を深めるためには、会社(勤め先)・仕事(業務)・人(メンバー)の切り口を意識すると良いかもしれません。仕事上の悩みや不満の大半は、「会社の方針」「仕事の内容・量」「人間関係」に集約されるからです。

とはいえ前提知識が異なる中で、会社や仕事をしっかり理解するのは話す側も聞く側も難しいですよね。ですので、まずは「会社の人間関係」の理解から始めるのがオススメです。上司・部下の名前や特徴、尊敬する人・苦手な人。人間関係は万人に共通する悩みですので話題にしやすいと言えるでしょう。

【テーマ軸での質問例】※話しやすさを★5段階で評価

▶人(メンバー)について(★★★★★)
「上司・部下・同僚ってどんな人?」
「尊敬する人/苦手な人っている?」
「一番仲がいい人って誰?」

▶仕事(業務)について(★★★)
「今はどんな仕事(業務)をしてるの?」
「その仕事(業務)のやりがいってどんなこと?」
「どんなときに嬉しい/大変って感じるの?」

▶会社(勤め先)について(★)
「その会社はどんな事業をしているの?」
「その会社のお客さんはどんな人・会社なの?」
「その会社の特徴や強みってどんなところ?」

これらの質問を通して、パートナーの具体的な仕事の内容や置かれた状況を理解することができ、お互いに目線を合わせた目線を合わせた。

時間軸×テーマ軸を組み合わせる

時間軸とテーマ軸はどちらもキャリアについての話を深めるための重要な観点ですが、そのふたつを組み合わせることで話し合いはさらに広がります。例えば、会社(勤務先)×未来、人(メンバー)×現在、仕事(業務)×過去などなど。3×3=9通りの切り口がありますので、慣れてくれば仕事の話題がなくなるなんてことはないと思います。

例えば、会社×未来について話す場合、「会社はこれからどのようなことを重視して行こうとしているの?」と尋ねることで、会社の動きとそれに伴うパートナーの状況を予測することができるかもしれません。また、人×過去について話す場合、「これまでの仕事で最も信頼してた人ってどんな人?」といった質問によって、パートナーの仕事観を理解することにつながるでしょう。

このように、複合的な切り口で話題を展開することで、話の幅が広がり、お互いの理解が深まります。

夫婦が仕事の理解を深めるためのポイント

夫婦が互いの仕事を深く理解し、サポートし合うためには、いくつかのポイントに注意することが大切です。ここでは、特に重要な3点について詳しく説明します。

アドバイスよりも興味や共感を示す

仕事の話をする際には、アドバイスをするよりもまず相手に興味や共感を示すことが大切です。パートナーの話を真剣に聞き、共感を示すことで、相手の気持ちや本音を引き出しやすくなります。そのためには、パートナーやその仕事に対してのリスペクトが欠かせません。

例えば、「その仕事の進展が楽しみだね」といった共感を示したり、「具体的にどんな課題に取り組んでいるの?」といった質問を提示したり。パートナーの話を引き出せるように心がけていきましょう。

また、ときにはネガティブな話が出てくるかもしれませんが、「そんな職場、楽しいの?」「転職したら?」といった発言は絶対NGです。ご本人の中でのプライドやこだわりもあるはずなので、たとえ夫婦でも気軽に踏み込むべきではありません。「そりゃ、しんどいね」「大変な中がんばってるんだね...」と共感や理解を示しながら、「何ができることがあったら言ってね」と常に味方であることを示すようにしていきましょう。

過干渉をしないようにする

仕事を理解し合うことと干渉することは異なります。話したくないことを必要以上に引き出そうとしたり、仕事のやり方に文句をつけることは有効ではありません。例えば、仕事の詳細な進捗状況や上司とのやり取りなど、デリケートな情報を無理に聞き出すことは相互理解を進めるためには逆効果です。

過干渉に特に注意しなければいけないのは、パートナーの仕事によって自分に強い悪影響が発生している場面です。例えば、共働きで自身も忙しいにも関わらず家事の比重に偏りがあるときや、パートナーが仕事を理由に育児に参画しないorできないときなどに行われやすいです。純粋な興味からではなく、現状変更をするための干渉は効果が出にくいため、なるべく避けるようにしましょう。

過干渉を避けるためにも、普段から仕事についての話をしておき、仕事のバランス調整や助け合いがしやすい状況を作っておくことが大切です。仕事上、お互いに忙しくなる時期もあるでしょう。その際、何も理解がない中で話し合いを進めようとしてもなかなかうまくは行きません。日々の理解や習慣づくりが大切です。

ポジティブな時間にする

何よりも大切なのは、仕事についての話の場をポジティブな時間にするように意識することです。夫婦が仕事の話をする上で大切のなのは、一度で深く話すことではなく、浅くても良いので日常的に話をすることです。そのためには、仕事の話をするのが億劫ではない状況を作り続けることが大切です。

仮にパートナーの仕事に対して否定的な態度や過干渉を感じてしまう場合、夫婦で仕事の話を避ける様になってしまう可能性があります。仕事の状況は日々変化しますので、仕事の話をネガティブに捉えられていまうとうまく情報共有がなされなくなってしまいます。夫婦運営にも長期的には支障が出てくるでしょう。

ですので、アドバイスや過干渉は極力避けて、なるべくポジティブな時間となるように意識をしましょう。また、お互いにリラックスしているタイミングで話すことも大切です。心に余裕がないと、どうしても雰囲気に出てしまいますので。

まとめ

本記事では、夫婦が仕事の内容を理解することの大切さや、そのための具体的な切り口について解説しました。今回のような点を習慣化するだけでも、夫婦の仕事に対しての相互理解は深まります。

本来、キャリアや仕事は私たちの人生で非常に大きな時間を占めています。ですので、仕事の話題を夫婦で楽しむことができれば、必然的に全体的な満足度も上がっていきます。今回の記事をきっかけに、仕事について積極的に会話するようなご夫婦が増えていくことを願っています。

灯し屋では、夫婦のキャリア形成をコーチングの手法を用いてサポートしています。夫婦の悩みはおひとりで抱えずに、お気軽にご相談ください。

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記事の執筆者

畔栁 倫平|Rimpei Kuroyanagi

夫婦の大学 学長/灯し屋 創業者

2023年1月に夫婦・カップル向けの支援事業を展開する【灯し屋】を創業。コーチングという対話手法を通して、夫婦・カップルのあらゆる意思決定や悩みに日々向き合っている。また、2025年4月より夫婦・カップルのための学びの場、【夫婦の大学】をスタート。結婚生活/夫婦関係に必須の夫婦コミュニケーション講座やコラボイベントなどを開催している。

【保有認定資格】
Gallup認定 ストレングスコーチ/EQ1990認定 EQPI®アナリスト/エッグフォワード認定 変革コーチ

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